【Outdated】WSAを使って学校PCでスマホゲームを遊ぼう

【Outdated】WSAを使って学校PCでスマホゲームを遊ぼう

2024年7月12日

こんにちは、技術部の7R514です。私は2年間、学校のタブレットでできることの限界を色々と探ってきましたが、つい先日WSAを使用してAndroidアプリを動かすことに成功しました。この記事では、その方法について解説していきます。

(2024年11月22日追記)この方法は使用不可になりました

知人からの連絡があったため調べてみたところ、既にMicrosoft StoreでAmazonアプリストアの新規ダウンロードが不可能になっていることが分かりました。Wingetでもダウンロードエラーになってしまうため、抜け道はありません。

Windows Subsystem for AndroidTM with Amazon AppStore」(ID: 9p3395vx91nr)を使用する、アーカイブからappxファイルをダウンロードする、MustardChef氏のビルドを使用する等の方法も試してみましたが、全てインストール前に管理者権限が要求されます。拒否した場合そもそも始まらないため、ユーザー権限での新規導入は難しそうです。

よって、このページの以降の内容はもう役に立ちません。「そんなことができたんだなあ」程度にお読みください。

QEmu上のLinuxでWaydroidを実行する、QEmu上でAndroid-x86を動かすといった方法も試してみましたが、WSA以上に使い物にならないため諦めましょう。

詳しい人向けの要約

単にWSA(Windows Subsystem for Android)が動いたというだけの話です。それ以上でもそれ以下でもありません。

前提条件

愛知県の県立高校では、次のようなタブレットPCが使用されています。

名前Surface Go 3
CPUCore i3-10100Y
GPUIntel UHD Graphics 615
メモリ8GB
ストレージ128GB SSD
OSWindows 11 Enterprise
備考管理者権限は生徒には無い。
BitLockerが使用されているため、sethc.exeハックは不可能。
Hyper-Vは何故か有効化されている。
一部高校ではSurface Go 2が使用されているらしいが、詳細は不明。

スペックは低めですが、最低限の水準は満たしているので特に困ることはありません。メモリ4GBやeMMC64GBなど、更にスペックの低い端末を使ってきたため感覚が麻痺しているのかもしれませんが。

重要なのは、推奨要件ではないとはいえWSAを動かすための必須条件を満たしているということです。これを悪用活用すれば、学校でスマホを使わずにスマホゲームが遊べるのではないかと思いました。

WSAで遊ぶための手順

1. WSAを有効化する

Microsoft StoreからAmazon Appstoreをインストールします。これだけでWSAが有効化されます。
ただし、現在はストアページが限定公開の設定になっており、普通に検索しても見つかりません。そのためリンクを貼っておきました。

Amazonアプリストア では、Windows 11のコンピューターやタブレットから、続々とリリースされるモバイルアプリやゲームに簡単にアクセスできます。ゲーム…
apps.microsoft.com

インストールの最中に管理者権限が要求されますが、「いいえ」を選んでも何事も無かったかのようにインストールが継続し、そのまま完了します。なぜ?

なお、WSAは2025年3月をもってサポートが終了し、それ以降は新規インストールが不可能になります。興味のある方は早めにダウンロードしてください。
一応、有志の方が非公式版の開発を継続するようですが、こちらは管理者権限が必須となるため学校のPCで遊ぶことはできません。

2. WSAのサイドロード設定を行う

標準のWSAではAmazon Appstoreをアプリストアとして使用します。そちらに使いたいアプリがあるなら大丈夫ですが、一般的なゲームなどはありません。そのため、Google Play Storeの代替となるAurora Storeをインストールします。

Aurora Storeは、Google Play Store上のアプリをダウンロードすることのできる有名な代替ツールです。オープンソースで、様々なAndroidデバイスにインストールすることが出来ます。

アプリをサイドロードする方法はいくつかあります。今回はファイル共有機能を使用する方法を解説しますが、詳しい方であればコマンドラインから「adb install」しても構いません。

まずは、WSAの設定でファイル共有を有効化します。スタートメニューから「Android™用Windowsサブシステム」を起動してください。

まず、右下の「Android™用Windowsサブシステムをオフにします」の右側にある「無効にする」ボタンを押します。すると一時的にWSAのAndroidの電源がオフになります。

次に、左側の「詳細設定」、右下「試験的な機能」と順に選択してください。その後、「ユーザーフォルダーを共有する」をオンにします。既定ではユーザーフォルダー(C:\Users\ユーザー名)になっているはずです。

3. Aurora Storeをインストールする

設定が終わったら、Aurora Storeのapkファイルをダウンロードします。

index - powered by h5ai v0.30.0 (https://larsjung.de/h5ai/)
auroraoss.com

リンク先がダウンロードページです。Stableの最新バージョンをダウンロードしましょう。なお、ダウンロードしたファイルは先ほどAndroidと共有したフォルダー(既定ではC:\Users\ユーザー名)に入れておいてください。

では、実際にインストールしていきましょう。WSA設定アプリの「システム」タブから、「ファイル」を選択して起動します。

Windowsフォルダの中に、先ほど設置したAuroraStore-X.X.X.apkがあるはずです。これを選択してインストールしましょう。これでAurora Storeがインストールできました。

4. WSAに目的のアプリを入れる

インストールしたAurora Storeはスタートメニューから起動できるはずです。起動したら、指示に従って必要な権限を付与していきましょう。その後、ログイン方法の選択画面では「匿名」を選択します。

するとストア画面が開きますが、まだインストール可能なアプリが限られているため、端末偽装を行います。右上の設定ボタンから「偽装マネージャー」を開いてください。

下の方にある「windows_x86_64-default」のチェックを外し、「Google Pixel 7a」にチェックを入れます。正直どれでも構いませんが、今回はAndroidのデファクトスタンダードであるPixelを選択しました。

完了したら、「Manage your account」から一度ログアウトし、再び匿名でログインしてください。あとはストアからお好みのアプリをインストールするだけです。

注意点ですが、有料のアプリはこの方法ではインストールできません。個人のGoogleアカウントでログインすれば可能ですが、アカウントをBANされる危険性があります。

早速WSAで遊んでみる

ぴよ将棋

とりあえず、「ぴよ将棋」を起動してみました。アプリ版ぴよ将棋はWeb版とは異なり、棋譜解析機能があるため実用的でもあります。

ちなみに、ぴよベンチ(端末性能の指数)は92程度でした。Pixel 6aが763程度、iPhone13が1075程度であることを考えると、あまりにも性能が足りなさすぎる…
そのため、高レベルのCOMが相手だと思考時間がとんでもなく長くなります。

ブルーアーカイブ

折角なのでソシャゲもと思い、とりあえずブルーアーカイブを遊んでみました。

しかし、会話シーンの段階で既に動作が重く、たびたび処理落ちします。3D描写のある戦闘シーンに入ると更に酷くなり、最低画質でも6-8fps程度しか出ません。これはもはやゲームと言えるのか。

…などと言っていたらゲームが落ちてしまいました。まともに遊ぶことは諦めたほうが良さそうです。

ベンチマーク

性能を客観的な数値として知りたいのでベンチマークを回してみました。使用したソフトはAntutuとGeekbenchです。

しかし、残念なことにどちらも計測中にフリーズ・クラッシュしてしまい、スコアは出ませんでした。

要するに、「Antutuスコア5桁」とか、そういう表現では到底言い表せないほどに性能が低いということです。もともと低めのスペックな上にARMのエミュレーションが行われているため、正直当然の結果と言う感じもしますが、流石にここまでとは思いませんでした…

まとめ

結果から言うと、あまり役に立ちませんでした。確かに校則を迂回してスマホゲームが遊べるという利点こそありますが、フレームレートが1桁というのは正直ゲームになりません。

また、ここまで特に言及してきませんでしたが端末の発熱も酷かったです。背面は触ると低温やけどを起こすレベルまで熱くなっていました。今回は扇風機や保冷剤でなんとか冷却しましたが、普通に使うと壊れてしまいそうです。

例えば、活用法を見出すのであれば、以下のような場面なんかでしょうか。

  • ソシャゲの日々の周回 (ロード時間が長いので役に立つかは微妙)
  • 比較的処理の軽いアプリ・ゲームを遊ぶ
  • 処理落ちが酷くても学校でゲームをしたい

…というか、家に置いたゲーミングPCで動かして、リモートデスクトップ接続する方がどう考えても現実的かつ軽快に動作します。本当にこの研究の存在価値が無くなってきました。

というわけで、本記事は以上とさせていただきます。ご覧いただきありがとうございました。