4月に入ってまいりました。学年が上がり、受験生の皆さんはピリピリとした空気感を少しずつ感じてきた頃かと思います。
筆者7R514は大学生活が始まり、慣れないことに日々翻弄されています。なぜ卒業したのにもかかわらず高校の非公式ブログを未だに書き続けているのでしょうか。(だいたいこいつが変なシリーズ企画を始めたせいです)
前回の記事では、公共政経を選ぶことで社会科目を乗り切ることについて書きました。今回のテーマは外国語科目です。ただし、ほとんどの方が英語を選択するでしょうから、英語に絞った話をすることにします。(他言語で受験する方はほとんどいないでしょうし、するとしても相当得意な方しかいないでしょうから、特にアドバイスはありません。)
今回の目標は、感覚的に英語を理解できるようになることです。
感覚的に理解するとは
「感覚的に英語を理解する」とは、感覚的に英文の意味を理解することです。
…そのまますぎて何の説明にもなっていませんね。では、例題を出してみましょう。
By coincidence, I ran into my childhood friend at the airport.
The scientist insisted that the discovery was not a coincidence, but the result of years of research.
Some people believe there are no coincidences in life, only fate.
What a coincidence! I was just thinking about you when you called.
ここで、”coincidence”とはなんという意味でしょうか。(英検準1級相当の英単語なので、知っている高校生はそう多くないはず。もしそうでしたらごめんなさい)
推測のヒントとして、まずは分からない単語の周辺の意味だけでも理解してみましょう。
coincidenceによって、空港で幼馴染の友人と出会った。
その科学者は発見はcoincidenceではなく、長年の研究の結果であると主張した。
一部の人は、人生にはcoincidenceなどなく、すべて運命であると信じている
なんというcoincidenceだ! 君が電話してきたとき、ちょうど君のことを考えていた。
“coincidence”の意味が段々とはっきり浮かび上がってきましたね。正解は、「偶然」です。
この例題を通じて、「感覚的に理解する」とはどのようなことなのか、実感していただけたかと思います。
このように、コンテクストを最大限に活用して英語を理解できると非常に便利です。共通テストではほぼ毎回、一般的ではない概念をテーマとした文章が登場しますし、そうでなくとも少し難しい単語が登場したりすることがよくあります。
しかし、この力は一朝一夕に身につけられるものではありません。普段から欠かさずトレーニングしておく必要があります。ここからは、その方法をいくつか紹介していきましょう。
日常の中での英語を見逃さない
私たちの日常生活の中には、幾多の英単語が隠れています。
例えば、バスや列車に乗ったとき、座席番号の表記にはこのように書かれていますね。
5A – Window Seat
5B – Aisle Seat
5C – Aisle Seat
5D – Window Seat
こういった英語を見つけたとき、必ず意味の推測をしてみましょう。そういった経験が感覚的理解につながります。
例についても考えてみましょう。”Window Seat”が「窓側の席」という意味であることは明確でしょう。では、”Aisle Seat”とは何でしょうか。”Window Seat”と対になる概念であることを踏まえ、シチュエーションを考えると、「通路側の席」と推測できるでしょう。それが正解です。
(“Aisle Seat”は英語リスニングでしばしば登場します。意味を知らない人も多く、差がつく問題となることが多いです)
英語のエンタメに触れてみる
近年はさまざまな分野でグローバル化が進んでいます。インターネットで検索すれば海外の著作権期限切れ小説などを簡単に読むことができますし、英語で話している動画を視聴することもできます。ゲームソフトでも、オプションで言語変更が可能であることが多いでしょう。これらのメディアを活用すれば、楽しみながら英語に触れることができるのですから、使わない手はありません。
まずは、自分の好きなゲームを、英語設定でプレイしてみましょう。最初は少し戸惑うかもしれませんが、しばらくプレイしていれば言語の違いなどあまり気にならなくなってくるでしょう。
ただし、ポケモンなど固有名詞の多いソフトは非推奨。それ以外なら大抵大丈夫なはずです。
YouTubeで動画/生配信を見るのが好きな方であれば、英語の動画にも挑戦してみましょう。自分の好きな分野の動画であれば理解しやすいかも。話し言葉はやや聞き取りづらいこともありますから、字幕も有効活用してみてください。
余談ですが、個人的に好きな英語の動画がこれ。
SM64’s Invisible Walls Explained Once and for All – pannenkoek2012
1996年に発売されたマリオ64のゲームにおいて、プレイヤーを困らせてきたバグである「見えない壁」を題材に、ゲーム内での物理学について解説している動画です。ゲームとプログラミングが趣味である自分にはめちゃくちゃ刺さりました。
生成AIを活用する
ChatGPTやGemini, Grokといった生成AIは、英語を学ぶのに非常に役立ちます。
例えば、分からない単語があったら、次のように聞いてみましょう。
“coincidence”という英単語を使って、いくつかの例文を生成してください。ただし、その日本語での意味については言及しないでください。
こうすることで、文脈から感覚的に意味を推測するという体験を、比較的容易に得られます。普通の辞典でも似たようなことはできますが、日本語の意味が先に目に入ってしまいやすいです。
あるいは、好きなトピックを軸にして、英文を読む練習をすることもできます。次のようなプロンプトを入力してみてください。
高校生レベルの英語で、ドラえもんについての文章を書いてください。
長文を読むのは苦手という人であっても、自分の好きなテーマであれば意外と苦にならずに読めてしまうことが多いです。
まとめ
今回の記事では、感覚的に英語を理解できるようになるとどのようなメリットがあるのか、また、その力をつけるためにはどうすればよいのかを解説しました。
しばしば先生らは「文中に知らない単語がn%あると理解できないから、多くの単語を覚えろ」と言います。確かに、受験でそれなりの点数を取ること自体が目的なのであれば有効ですが、暗記ばかりで疲れてしまいますし、将来性もあまり望めません。それに対し、このスキルを極めると、「文中に知らない単語がn%あっても理解できる」ようになります。最強の戦略です。
日常生活でも意識する必要があるなど、身につけるのが比較的難しいスキルではあります。しかし、ひとたび習得できれば、安定して高い点を取れるようになるはずです。また、大学入学後も英語で困ることはないでしょう。それを目指して、一緒に頑張りましょう!
次回のテーマは物理、そのさらに次は化学を予定しています。(生物選択の方はごめんなさい。)比較的汎用的な学習法などについても解説していく予定ですので、ぜひ来月もまた読んでいただけるとありがたいです。
おまけ: 例題の別パターン
ここからはおまけです。本編では”coincidence”の単語の意味を、周囲の文章から推測する例題を出していましたが、当初は別の問題を想定していました。やや難しい気がしたので没にしてしまいましたが、せっかくなのでここに残しておきます。
A bottle of canquarie is on the table.
Everyone likes canquarie.
Canquarie makes you drunk.
We made canquarie out of corn.
これらの文章に出てくる”canquarie”とはなんという意味でしょうか。
実を言うと、canquarieというのはついさっき私が思いついただけの、架空の単語です。よって意味はありません。
一応、文章を読んでみると、コーンが原料であり、多くの人に好まれているアルコール飲料のようなものが頭に浮かんできます。そこまで連想できれば十分な実力です。